〔2000年9月〕
夏休みに入り、 家族で八ヶ岳に一泊し、近くの美しが森に向かった。
二つのリフトを乗り継ぎ、頂上まで少し歩く。 高山植物やバードウォーキングを楽しむ。
頂上は、標高1900メートル。 一瞬、夏を忘れてしまう。
雷が下の方から聞こえてくる。行きを見ると、もう少し雨は大丈夫のようだ。
ところが、山の天候は、激しく変化する。
帰りのリフトを待っていると、ぽつぽつ雨が降り始めた。
すると、暫くして係員がレインコートを支給してくれた。
雷は、勢いを増していく。
雨は、肌に突き刺すように降る。
やっと、 リフトの順番が来た。
私は長男といっしょに乗った。
上りは、いい景色を眺めながら来たのに、下りは、下を向き、ひたすら雷雨に耐えないといけない。
レインコートをもらったものの、リフトに座ると、どうしても水が溜まり、 それが服にしみ込んでいく。
だんだん寒くなってきた。
「もうすぐ着替えられるから」
雷がとどろく。
思わず、 「金光様、 金光様」と二人いっしょに口にしていた。
リフトの降り口まで遠く感じる。
雷雨に負けじと「金光様」と一心に唱え続けた。
降り口には、バスが迎えに来てくれ、ふもとの駐車場まで送ってくれた。
雨に当たっている時は、辛かったが、バスに乗り込むと、雷の心配もなく、冷えた体が温まり、有り難く思った。また、人の優しさも感じた。
お互いに席を譲り合い、バスの迎えを喜び合い、「こんな体験は、そうはできないし、夏休みの日記に書けるね」と、笑い合った。
ずぶ濡れもまた楽しいものだ。
帰り道、渋滞の上に、土砂降りの雨だ。
「お父さん、運転お願いします」 私も口を開けて、眠ってはいられない。
後部席から、長男が、「僕はお祈りしていくわ」 と言ってくれた。
神様に見守られて、旅は無事終わった。
『「人に誘われて、 しょうことなしの信心は、つけ焼き刃の信心じゃ。 つけ焼き刃の信心は取れやすい。どうぞ、その身から打ちこんでの真の信心をせい。 世には勢信心ということを言おうが、一人で持ちあがらぬ石でも、大勢して、よいしょと一度に元気を出して力をそろえれば持ちあがるも同然じゃ」 と金光様は教えてくだされたが、家内中力をそろえて信心せよ』
(理解Ⅲ 求教語録201)