〔1995年5月〕
幼稚園のバスの送り迎えに行く途中、煙草の吸い殻や空き缶が捨てられているのが目に付く。
町内のお年寄が掃除をしてくれ、私も空き缶を拾って帰る。
社宅の前に公園があり、人も多く集まるからかもしれないが、当然吸い殻入れ、ゴミ入れは設置されている。
にもかかわらず用が済むと、その場に捨て置く人が多いようである。
私が新婚旅行で香港に行った時のことである。
あちらでは、煙草の吸い殻を道路に捨てると罰金に処せられるとガイドブックに書かれてあった。
愛煙家の夫は、盗難よりも道路で煙草を吸わないように、とても神経を遣っていた。
私達は日本では吸い殻が道に落ちている状態を見慣れているので、一本も捨てられていない香港の道路を見て驚いた。
街は人や車でごちゃごちゃした印象であるが、おかげで気持ちよく歩けたのである。
日本も罰金制度を用いないと、土地をきれいに使うという意識は高まらないのだろうか。残念である。
話は変わるが、子どもが幼稚園に行き出して暫くして、突然唾を地面に吐くようになった。
どこで覚えたのだろう。
幼稚園のバス停に行くと原因がわかった。ある男の子が、子どもに向けて唾をかけてきた。
子どももやり返そうとしたので注意をした。
幼稚園から帰って、「唾をかけられていい気持だった?」「いやだ」「自分もいやだったら人にもしたらあかんよ。地面に吐くこともいけないこと。もし出したくなったらティッシュで拭きなさい。 土地は神様の土地。 汚さないようにしような。 分かったね」
親の言うことだけでは不安であるので、すぐ教会へ行きお届けをする。
「神様とお約束させてもらって、どうぞ唾を吐かないようにならせて頂きますように」
幼稚園から帰ると、すぐに教会へお参りさせてもらう。
「今日は唾を吐かなかったよ」
「えらかったな」
バス停でも「ほら、唾を吐いてないよ」 次の日も「今日も唾を吐かなかったよ」
このように十日くらい経った日、先生は「えらかったな。 唾を吐かなくなったらお母さんも喜んでるな。 神様も喜んでくれているよ」とおっしゃった。
神様とお約束することで、子どもの意識づけをさせて頂き、お約束を守ることができ、土地を汚してはいけないことを気付かせてもらえた。
また、有り難いことにいつの間にか、男の子も唾をかけないようになっていた。
『地内をみだりに汚すなよ』
(理解Ⅲ神訓1道教えの大綱10)